いつだって私のそばにはピアノが

アーティストインタビュー
宇徳敬子さん(シンガーソングライター)

ピアノへの愛を受け継ぐということ

── 宇徳さんの作曲スタイルはどんな感じなんでしょう?

ピアノの前に座ると、曲のアイデアやフレーズ、メロディーって自然と浮かんできます。あとは、生活のリズムの中でシャワーを浴びている時とか。それを忘れないようにICレコーダーやスマホに録音したり、してなかったり(笑)。仕上げていく過程でコードを探りながら鍵盤に落とし込んで、デモ録音をするという流れですね。
 

── その意味では幼少期から今に至るまで、常に宇徳さんの側にはピアノがある?

そうですね。特に今回、このインタビューでお話させていただくことで、あらためて幼少期から今までを振り返ってみて、ピアノが原点だった事を再認識しました。
 
でも、93年のデビューからライヴ活動はやらない方針で進行していたので、ソロライヴとしては2010年から本格的にスタートして、バンド編成で演ってみたりしていると、ヴォーカリストとしての立ち位置に自分自身がシフトしていった気がします。
 
だから、シンガーソングライターとして自分の創った曲を弾き語るというよりは音で会話出来る調和のとれたミュージシャン達と愉しみながら、そしてオーディエンスとの心の繋がりを大切にして音楽でお返しという恩返しを愛のメッセージとして伝播していく在り方でいましたね。
 
ピアノマンとして例えるならば、自分の理想が高いところにあると、そこにいない自分を隠してしまっていたような感じですかね。
 
それを思うと、あの頃のようにもっと自由に弾いてみたいとも思いました。
何故なら生のピアノに触れる機会がなくなっていましたから。


── その宇徳さんに今回、ヤマハリニューアルピアノ®︎を実際に弾いてもらいましたが、感想を聞かせてもらえますか。

久々に触れてみた生音の響きは美しく、タッチ感も心地よくて
生ピアノの倍音に共鳴して共振していくような高揚感に包まれますね。
そして、楽器そのモノを大事にリニューアルして新たに蘇らせていくという志にも共感します。
 
生ピアノって楽器との対話という感じがして、演奏は指とピアノが返してくる音、その響きとのコミュニケーションみたいな感覚。
こういう音を返してくれたから次はこう弾こう、次はこう、、っていうような。
そういう意味では生ピアノでの楽曲制作は、そうしたピアノとの対話からインスピレーションだったりアイデアも生まれやすいのかもしれませんね。
 
モノには魂が宿るってよく言いますよね。楽器にもそれを強く感じていて、大切にされて愛されてきた楽器達は豊かで深みのある音を奏でるように育っていくように感じてます。
このヤマハリニューアルピアノ®のように
人の手が加わって、心の温もりが伝わって、また新たに生まれ変わる音色には、なんとも言えないノスタルジーを感じました。
 

── ピアノに限らずプロのミュージシャンの方は何でも最新の機材というより、古くからの愛機を大切にしてらっしゃる方は多いですよね。

「〇〇年前のギターだけど、この曲のイントロにはバッチリ合うと思って今日は久々に働いてもらう」、「今日もいい音で鳴いてくれた」なんて楽器を擬人化して話すミュージシャンって多いですよね。
扱い方も無造作なようで実はすごく大切にしている。弾き手の思いっていうのは少なからずその楽器に蓄積されていくような気がするんです。

たとえばその感覚はホールとかも一緒で、以前、東京国際フォーラムにノラ・ジョーンズのコンサートを観に行ったとき、「このホールはこういう素敵な音をたくさん吸収してきたから、今日もこんなにも素敵な音楽を共鳴させているのね」って感銘を受けましたから。
 
愛情持って大切にしてきたピアノを手放さなくてはならない時、また新たにメンテナンスしてもらって、またピアノを大事にしてもらえる人のもとへ届けられるのなら、とても素敵なことですよね。

それはピアノへの愛を受け継ぐという、きっとピアノにとっても幸せなことなんでしょうね。

宇徳敬子
シンガーソングライター
鹿児島県出身
モデルを経て、’90年に国民的大ヒット「おどるポンポコリン」のB.B.クィーンズのメンバーとしてデビュー。
第32回日本レコード大賞では「日本レコード大賞」「ポップス・ゴー ルド・ディスク賞」を受賞。第41回NHK紅白歌合戦にB.B.クィーンズとして「おどるポンポコリン」にて初出場。
翌年、ユニットMi-Keを結成「想い出の九十九里浜」でメインボーカルとしてデビュー。
第32回日本レコード大賞で「最優秀新人賞」を受賞。第42回NHK紅白歌合戦には「想い出の九十九里浜」にて出場。翌年、第43回NHK紅白歌合戦では「涙のバケーション」で3年連続出場。
’93年に「あなたの夢の中 そっと忍び込みたい」でソロデビューを果たし、
1st アルバム「砂時計」はオリコンチャート1位となる。
Live活動、他、ラジオ日本で「宇徳敬子の♡ハッピー愛ランド♡」レギュラーコーナーを担当。

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